「薯童謠 ソドンヨ」は百済を舞台にした初の韓国時代劇…初回で斬首される第26代王・聖王って?

02月08日17時00分ドラマ
©SBS

ラブコメディやヒューマン、サスペンスなど多くのジャンルの中でも人気の韓国時代劇。テレビでは過去の名作時代劇が再放送されているが、今回はBS日テレ「韓国時代劇の巨匠イ・ビョンフン監督全8演出作品一挙放送!」の第4弾として2月13日から放送の「薯童謠-ソドンヨ-」(2005年、SBS)の時代背景と、第1話で斬首される聖王について紹介する。



「薯童謠-ソドンヨ-(以下、薯童謠)」は、古くから伝わる童謡をモチーフに、身分を隠した百済の王子(チョ・ヒョンジェ扮)と新羅の姫(イ・ボヨン扮)との運命の恋と生涯を描いた歴史ロマン大作。

薯童謠©SBS

「薯童謠」は初めての百済を舞台にしたドラマ


系図百済【百済王朝系図】イ・ビョンフン監督が「宮廷女官チャン・グムの誓い」の後、他の時代の物語を描きたいと企画を出したのが「薯童謠」だ。新羅、高句麗、百済の三国が覇権をめぐって争っていた三国時代、百済27代・威徳王~30代・武王までを舞台にしている。三国の中でも百済は残された遺跡や資料も少なく(2005年当時)ドラマ化されることもなく、本作は百済を舞台にした初めての作品として注目を集めた。
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百済ってどんな国?


地図【三国時代の地図】百済は半島南西部に居住した馬韓を構成する諸国の1つだった伯済国によって2~3世紀後半に成立したとされている。『三国史記』によるとBC18年に、高句麗の始祖・東明王(朱蒙)の子・温祚王によって建てられたともある。これによると高句麗と百済は親戚国となるが、両国は対立関係にあった。百済が勢力を広げたのは第13代王・近肖古王の時代。371年には高句麗に攻め込み高句麗第16代王・故国原王を倒すなど領土拡大に貢献した。だが475年に百済は高句麗に王都の漢城(ハンソン)を落とされ、熊津(ウンジン)へ遷都を余儀なくされた。また隣接し常にお互いの脅威を感じる百済と新羅は、格段に強大だった高句麗と対抗すべく共闘したりしたが、結局百済は660年、新羅と唐(中国)との連合軍に倒され滅亡した。
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第1話冒頭で斬首される国王は?


薯童謠©SBS百済の王子と新羅の王女と国を越えた悲恋を描いているが、歴史を知らない人にも第1話冒頭での百済王の斬首のエピソードが隣り合う両国の険悪な関係を強く印象付けている。戦に負けた百済の国王は斬首されたうえ、道の真ん中に首を埋められ、新羅の人々にその上を往来させるという残酷な展開だ。死してなお屈辱を味わわされたのは百済第26代王の聖王だ。では実在した聖王を紹介しよう。


聖王(ソンワン)は日本に仏教を伝えた王


百済第26代・聖王(生年不詳-554年没、在位:在位:523年-554年)は、523年5月に父王・武寧王が死去したことにより王位に就いた。本名は明禯(ミョンノン)。『日本書紀』では聖明王または明王とある。高句麗に首都の漢城を奪われ、南方の熊津時代(475-538年)に逃れて以降、王と貴族の間で内紛が相次いでいたが、武寧王が漢城を奪還し国力が回復してきたおかげで、聖王は538年に首都をさらに南の泗沘(サビ)に移して貴族勢力を一掃、国力を回復した。
中国の梁(りょう)から文化・技術を受容し、国策では仏教を信仰して大通寺を建立した。倭国(日本)との連携をはかり、博士を派遣して仏像・経典などを贈り仏教を伝えた。さらに新羅に侵略された伽耶諸国を倭と共に復興するという名目で南方に位置する伽耶に進出していった。
一方で、南下する高句麗に対抗するために新羅と共闘し、かつての本拠地の漢江流域を奪回する。新羅との同盟を強化するために王女を新羅の真興王(在位540年-576年)に嫁がせるなどしたが、新羅も伽耶諸国との併合を目論んでおり、やがて両国の連携が破綻し、554年、聖王自ら兵を率いて新羅と戦ったが管山城の戦いに敗れて、ドラマと同じく斬首されてしまったのだ。国王が新羅に打たれたことで、百済の王権は国内はもちろん対外的にも失墜し、やがて百済は衰退していく。


同じ時代を描いた作品は?


年表【ドラマ年表:三国時代】日本でも人気の「善徳女王」「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」は、「薯童謠」と同じ時代(6世紀から7世紀)をそれぞれ新羅と高句麗を舞台に描いた作品。
いわばお互いがお互いのスピンオフドラマともいえる作品。併せて視聴するとドラマがもっと楽しめるはず。
【ドラマ年表:三国時代】拡大して見る


聖王を演じた俳優は?


スベクヒャン「帝王の娘スベクヒャン」
©2013-4 MBC
本作で聖王を演じたのはアン・ソックン。「幻の王女チャミョンゴ」で楽浪郡の天文官、最近では「悪霊狩猟団:カウンターズ」シリーズの経費担当のチェ・ジャンムル役を演じている。同じく百済が舞台の「帝王の娘スベクヒャン」では加林城の城主を演じているが、「薯童謠」で後の武王となる主人公チャン役のチョ・ヒョンジェが「帝王の娘」では聖王を演じており興味深く、その後の物語として観るのも面白い。
※参考:「百済王はチョ・ヒョンジェにお任せ」


「薯童謠」はBS日テレにて2月13日(火)より17時~2話連続で放送される。なお、BS日テレでは2015年にも本作を放送しているが、今回の放送では全74話に編集して放送される。【「薯童謠」を2倍楽しむ】では74話版に合わせて各話のあらすじと見どころを紹介する。


■キャスト【相関図】
チャン/ソドン(薯童)/のちの30代王・武王役:チョ・ヒョンジェ
 子役:キム・ソク
ソンファ(善花)姫/チン・ガギョン役:イ・ボヨン
 子役:チェ・ソルリ
サテッキル/キム・ドハム役:リュ・ジン
モンナス博士役:イ・チャンフン
ヨンガモ役:イ・イルファ
百済27代王・威徳王役:チョン・ウク
プヨソン/のちの百済29代王・法王役:キム・ヨンホ
ウヨン姫役:ホ・ヨンラン
新羅26代王・真平王役:チェ・ドンジュン
新羅の貴族キム・サフム役:ナ・ソンギュン
 ほか

BS日テレ「薯童謠」番組サイト
 2024年2月13日スタート 月~金17:00-18:58(全74話版)2話連続放送

YouTube第1話無料配信中

kandoratop【作品詳細】【「薯童謠」を2倍楽しむ】